手ごわい

2005年12月16日 外来
医学番組などのマスコミ啓発番組や一般の根強い信仰には本当に手ごわい。
今じきなら、「熱が出たら、早めにお医者さんに行きましょう、インフルエンザは普通の風邪とは違います」というフレーズ。よく聞きますが、最近、診断するのは医者ではなくて、悲しいことに「検査キット」が主流ですから。皆、検査キットがあることを知ってて、検査をしに病院にくるのです。症状がインフルエンザだから、検査はしなくていいです、といえるほどの臨床能力のある私ではないので。でも、キットがない時代は臨床症状で判断でした(が、その時代にはインフルエンザの薬はなかった)し、検査キットが品切れのときは臨床症状から判断します。しかし、私が医者になって、2年目の冬にはキットが存在していたので、私は検査キットを使いますし、患者さんも検査せずにインフルエンザ、というのは最近慣れていないと思います。
さっき、よその病院の先生と話をしていたのですが、あの検査キット、妊娠検査薬みたいに薬局で売ってくれたら、まあ、でも薬出すのは病院だから結局一緒か、と言ってたんですけど、なかなか、難しい問題です。
さっきからの熱でかなりの確率で陰性に出そうな人を、調べることについて、30分-1時間前からの熱、インフルエンザ検査するべきか?
→A流行時期だからやってみる
 →B有熱時間が短いとでませんよ、しないほうに説得する
Aを選び検査→A陽性→薬出します、
      Bやっぱり陰性→発熱6時間経過してから再検査しますと伝える
Bを選びしない→患者さん、不満に思い、別病院に行き、そこでは検査をしてくれた→A陰性、たぶん次の日に検査をするでしょう。
            B陽性 前医はや○医者と言われる。

このように葛藤しながら、私個人としては流行時期は先ほどからの高熱でも臨床的に疑わしい人はもちろんします、でも強い希望があるひとで説明に納得できない人は、何度も説明した上で検査することにします。でも陰性になる人は実際います。で、、シーズン終わりかけには検査キットが品薄、一昨年はタ○フル品薄、という事態になります。

あとは「熱が出たから頭が・・・」(おじいちゃんおばあちゃんなどがよくいう話)、というお話。脳炎、脳症などが原因の熱なら、後遺症で、と言うことはありえるでしょうが、咽頭炎の熱で言われることも、多々あります。咽頭炎で本人の全身状態もよく、意識レベルも良く、脳炎などがないという熱の場合、そのように説明はするのですが、やはり、熱が出ると頭が。。。という信仰はなかなか、覆すことはできません。でも根気強く不安を取り除くべく、努力はしますけど。

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