やぶへび

「この人、僕の携帯見ようとする」と夫が溺愛する妹に言う。

こんな話をひとつ。

ずっと昔、二人が遠距離恋愛だったころ、私の携帯電話にいつも同じ番号の着信履歴が残っていた。

着信履歴は多いときは1分おきに、連続して3，4回、研修医で今みたいに日中電話を見ることもない私は、夜中にその着信を見てなんだろうと悩むばかり。ふしぎなことにその着信の市外局番は彼の住む町のものだった。

それが数日、とりあえず、その番号を着信拒否にすると、今度は携帯電話の番号でワンギリ履歴が残るようになった。そして回数はますます増え、夜中にもかかってくるようになった。出ると切れる、その繰り返し。研修医だった私は夜中の電話は貴重な睡眠を奪う、敵。それも着信拒否にしておいた。

すると、今度は非通知設定で同様のワンギリ電話がかかってくるようになった。

「これは絶対おかしい」

ちょっとピーンと来た私のとった行動。

1、携帯電話、固定電話の番号を控える。
2、久しぶりに会いに来た彼に、「申し訳ないけど、携帯の電話番号を見せて」と言っても見せてはくれないかもしれない、でも今のままでは私は明らかに被害者なので、とりあえず、見る、と宣言して、嫌がる彼の携帯拝見。

該当番号あり。

その番号はどちらも同じ人からの番号だった。

問い詰めると、
「バイト先の同僚で、1回ドライブに行った。彼女がいると本人には言っててやましいことは何一つない」

と苦しい言い訳らしきものを言う。

それが真実だろうが、うそだろうが、それを確かめる術はない。しかし、その女性が彼の携帯を黙ってみて、着信履歴などから、私を彼女と認識し、電話を掛けてきたことは事実である。

「二人でドライブして勘違いされるような隙を見せるほうが悪い」

ということで、厳重注意し、それからは怪しい行動をとれば、携帯電話は見る、と宣言している私。ロックかけたり、変に削除していれば、その時点で有罪。もちろん私の携帯電話は見たければ見れば良い、とも言っている。しかし、私は絶対足がつかない自信がある。

見るといってみてるんだし、私は被害者なんだから、それくらいは、脅しかけとかないと。

しかも、隠れてみたことは一度もないし、夫の目の前で、一度、怪しい行動があるときに本人立会いの下、見ただけである。

とこのように、こんな夫の前科を溺愛する妹に暴露してみた所、あまりの恥ずかしさに耳まで赤くなり、身をよじって嫌がっていた。私はそれを見て快感。

まだ、もうひとつ爆弾があるんだけれど、これは、また藪をつつかれたときに放り出してみよう。